第71章 ウォール・マリア奪還作戦
リヴァイはエルヴィンがこんな風になる所は初めて見た。
そして“何度も死にたいと思った”という言葉。
こんな言葉を聞いたのも、そんな事を思っていたのも初めて知った。
だが、この言葉は嘘ではないだろう。
今まで悪魔の様な奴だと思っていたが、エルヴィンも人の子なのだ。
「……だがリヴァイ、見えるか?俺達の仲間が…」
「…………」
「仲間達は俺らを見ている。捧げた心臓がどうなったか知りたいんだ。まだ戦いは終わってないからな…全ては俺の頭の中の…子供じみた妄想にすぎない…のか?」
そう言ってうなだれるエルヴィンを見てリヴァイは思った。
きっと、エルヴィンは迷っているのだろう。
正しい選択が何なのか、わかってはいるが決断しきれていないのだろう。
そしてその背中を、自分に押してもらいたいと思ってるのではないのだろうか…
今まで苦しい選択を幾度となくし続けてきたエルヴィン。
それをずっと側で見続けてきた自分。
最後くらいは、自分が背中を押してやってもいいのではないだろうか…
しかし、エルヴィンの背中を押すには、当たり前だが自分も相当な覚悟が必要だ。
そして背負う責任も大きい。
ちゃんと冷静になってよく考えたいが、生憎そんな時間はない。
急がなければここも更地となってあの投石の餌食になってしまう。
リヴァイは決心をすると、エルヴィンの前に跪いた。
「お前はよく頑張った。おかげで俺達はここまで辿り着く事ができた…だから…だからこそ…俺は選ぶぞ…!!」
「リヴァイ……」
「夢を諦めて死んでくれ。新兵達を地獄に導け。“獣の巨人”は…俺が仕留める。」