第71章 ウォール・マリア奪還作戦
「………」
「獣はここらにアタリをつけたみてぇだな…ここもすぐに蜂の巣になる。」
何も話そうとしないエルヴィンに焦れたリヴァイは、ある提案をする。
「エルヴィン…反撃の手数が何も残されてねぇって言うんなら、敗走の準備をするぞ…」
「………!?」
「あそこで伸びてるエレンを起こしてこい。そのエレンにお前と何人かを乗せて逃げろ。少しでも生存者を残す。新兵と向こう側にいる生き残りが馬で一斉に散らばり…帰路を目指すのはどうだ?それを囮にしてお前らを乗せたエレンが駆け抜ける。」
「リヴァイ…お前はどうするつもりだ?」
「俺は獣の相手だ、奴を引きつけて…」
「無理だ…近付く事すらできない…」
「だろうな、だが…お前とエレンが生きて帰ればまだ望みはある。あと…これは俺の個人的な望みだが…向こう側でクレアが生き残っていたら…お前の隣に乗せてやってくれ…」
「リヴァイ……」
ー諦めて死を選んだら許さないー
そうクレアに言ったのは自分だ。
言ってる事とやってる事が矛盾しているのは百も承知だが、調査兵団はエルヴィンを失うわけにはいかないのだ。
そして獣の巨人は何が何でもここで仕留めなければならない相手。
例え、自分が刺し違えてもだ。
クレアがもしベルトルトの爆風で死んでいるのならば、自分もここで死んでも…それはそれで悪くないと思える。
でも、もし生きているのならばどうか生き長らえて欲しい。
この状況まで追い詰められたリヴァイが願ったのは、エルヴィンとクレアの生存だった。
「既に状況はそういう段階にあると思わないか?大敗北だ。正直言って…俺はもう誰も生きて帰れないとすら思っている…」
「あぁ、反撃の手立てが何も無ければな……」