第71章 ウォール・マリア奪還作戦
シガンシナ区側は、今さっき起こった爆発の影響で、煙や砂埃が舞い上がっている。
樽に入ったベルトルトが投げ込まれたが、すぐに爆発しなかった事からリヴァイは何らかの方法で仕留める事ができたのだと思っていた。
しかし、今の爆発から推測するにそういう状況ではなかったのだろう。
今の爆発。
ハンジ達は…エレン達は…そしてクレアは無事なのか…
「とっとと終わらせないと…向こうに行けねぇ…」
そう呟いて前を向くと前方にいた3班の兵士達が瓦礫と共にバラバラに飛び散っている。
「は……?!」
状況がつかめず一瞬時が止まってしまったリヴァイだが、すぐに何が起こっているのかわかった。
ードドドドドドドドドドォン!!!ー
「獣の野郎………」
ずっと鎮座していた獣の巨人が、動き出したのだ。
手頃な岩を砕いてもの凄い勢いで投げ飛ばしてきている。
目の前の家屋はその投石で木っ端微塵だ。
その威力はもはや投石というより砲弾といってもいいだろう。
「前方より投石!!もの凄い威力だ!総員物陰に伏せろぉぉぉぉ!!!」
エルヴィンの号令に馬を連れた新兵はざわめき右往左往。
リヴァイは前方にいた生き残りの調査兵を助けようとしたが、次々に投げ込まれる石の爆弾になす術なく皆殺しにされてしまった。
「チクショウ……」
こうなってはもうダメだ。
リヴァイは建物の影に隠れながら後退し、エルヴィンのもとまで行って指示を仰ぐ事にした。
「な、何なんだよこの砲撃音は!!」
「大砲か?!」
「馬が荒れるから落ち着け!!」
リヴァイが後退を始めると、そこにいた新兵達はパニック状態だ。