第71章 ウォール・マリア奪還作戦
「あれが…ベルトルト…なの…?」
「え?何クレア?」
「あっ、いえ…私が知ってるベルトルトは何というか…少し控えめな印象があったので、あんなに強く壁内人類の死滅を主張する姿に違和感を感じてしまいました…」
クレアはライナーとベルトルトとそこまで親しくしていたわけではない。
アニの正体をアルミンが見破ったすぐ後に2人の容疑も上がっていたのだ。
会話らしい会話をしたのもわずかだ。
だが、そんな中でもクレアの中のベルトルトの印象は口数は多い方ではなく、あまり自分の意思を主張するタイプではなかったと記憶していた。
正体を明かして調査兵団を離れている間に、こんなにも彼を変えてしまう何かがあったという事なのだろう。
そういう事ならば今のベルトルトには説得も脅しも通用しない。
やはり殺すしかない…
「アルミンの説得も通じないとわかれば選択肢は1つだ!!クレア、モブリット!まずはライナーだ!」
ハンジはベルトルトが巨人化する前にライナーを片付けようと考えたのだが、まずい事態になっていた。
「分隊長!!ライナーが…ライナーが仰向けになっています!!」
「なんだって?!」
「これじゃあ…とどめが…刺せません!!」
先程まで膝をついて虫の息だったライナーが仰向けになっている。
これでは…急所の攻撃ができないだけではなく、最悪回復させるだけの時間を与える事になってしまう。
そして、鎧の巨体が盾になればベルトルトが巨人化する際の爆発からも守られる。
「チッ、これもヤツらの作戦か?!」
すると、ベルトルトが空高く飛び上がった。