第71章 ウォール・マリア奪還作戦
「雷槍を撃ち込め!!こうなったら身体ごと全部吹き飛ばすぞ!!」
この時のハンジには、ライナーの叫びになんの意味があるのかまではわからなかったが、良くない事が起こる可能性が高いのは確かだ。
そのため“良くない事”が起こる前に全てを吹き飛ばしてしまおうとしたのだが……
「…ハンジさん…!!」
アルミンがウォール・マリア側から樽の様な物が飛んできてる事に気づいた。
「さっきの叫び…まさか…ベルトルトか?」
叫びと同時に飛んでくる樽。
これはライナーのピンチに飛んできたベルトルトと考えてもおかしくないだろう。
「ダ、ダメです!!ライナーから離れて下さい!!」
「えぇ!?」
「上です!!上から超大型巨人が降ってきます!!ここはまるごと吹き飛びます!!」
「クソッ!!」
後もう少しだというのに…
ハンジは地団駄を踏むが、ここであの爆発を起こされたらまず助からない。
「全員“鎧の巨人”から離れろ!!“超大型巨人”が!!ここに落ちてくるぞ!!」
この距離では…間に合わない…
誰もがそう思った事だろう。
「ライナァァァァァァァァ!!!」
しかし、樽から飛び出してきたのは大爆発ではなく、ベルトルト本人だった。
おそらくライナーの惨状を目撃して巨人化するのをやめたのだろう。
飛び出してきたベルトルトは真っ先にライナーのもとへとおりたつと、ある事に気付いた。
「い、生きてる……」
どうやらライナーは全身の神経網に意識を移す事に成功したらしい。
神経網を通じて巨人の脳を利用すれば、記憶も失わずに済む。
しかしこれは最終手段だったはずだ。
それ程までにライナーは追い詰められていたということか。