第71章 ウォール・マリア奪還作戦
「あぁ、わかっている…」
何よりも今危惧すべき課題は“鎧の巨人”と“超大型巨人”に為す術なく馬を殺される事。
それならば……
「ディルク班並びにマレーネ班は内門のクラース班と共に馬を死守せよ!!リヴァイ班並びにハンジ班は“鎧の巨人”を仕留めよ!!各班は指揮のもと“雷槍”を使用し、何としてでも目的を果たせ!!」
馬を殺される前に全ての敵を殲滅する事だ。
「今この時!!この一戦に!!人類存続の全てが懸かっている。今一度人類に…心臓を捧げよ!!!」
「……!!」
ここで自分達がライナー達の侵攻を止められなければ、壁内の人間もそう遠くない未来に全員殺されるだろう。
そんな事には絶対にさせない。
クレアは奥歯を噛みしめると、すぐにシガンシナ区の方に身体を向けたのだが、エルヴィンがリヴァイに声をかけている様子が背後から聞こえてきたため思わず振り返ってしまった。
「リヴァイ、アルミン、待て!!リヴァイ班と言ったが、お前はこっちだリヴァイ。」
「………俺に、エレンではなく馬を守れと?」
「そうだ、そして隙を見て奴を討ち取れ。“獣の巨人”は、お前にしか託せない。」
「………了解した。さっき鎧のガキ1匹殺せなかった失態は…そいつの首で埋め合わせるとしよう。」
エルヴィンの命令に首を縦に振ると、リヴァイはクレアの方を見る。
すると、クレアは今の会話を聞いていたのか、すぐに目が合った。
クレアのその目は、人類の存続のために奮闘すると、闘志を滾らせていたが、一瞬だけ葛藤するような表情を見せた。