第71章 ウォール・マリア奪還作戦
ヤツらを最小限の犠牲で叩くにはどうすれば…
エルヴィンは必死に頭を働かせるが、ライナーが壁を登り始めてしまった。
このまま壁上までこられたら大きな犠牲が出る。
「ハンジさん!攻撃命令はまだですか?!団長は何を?!」
「待てエレン。エルヴィンは敵の動きを見ているんだ。どうもライナー君達は手の込んだ催しで歓迎してくれるようじゃないか…!」
迫りくるライナーにエレンは声を上げるが、ハンジがそれを止める。
下手に動き敵の罠にハマりでもしたら終わりなのだ。
焦れるように命令を待っていると、ある事に気づいたエルヴィンが口を開いた。
それは、獣の巨人に従うように側にいる4足歩行の巨人の存在だ。
「あの荷物を乗せた“4足歩行型の巨人”もおそらく知性を持った巨人だ。イヤ…もっといてもおかしくない。予想よりも敵の規模は大きそうだ。」
「ウォォォォォォォ!!!!」
動きを見せない調査兵団に痺れを切らしたかはわからぬが、獣の巨人が叫び声と共に拳を大地に叩きつけると、2〜3m級の巨人が多数接近してきた。
「動いた!!2〜3m級らが多数接近しています!!」
ウトガルド城の襲撃と同じく奴がまず狙うのは馬。
敵の主目的はエレンの奪取だが、馬さえ殺してしまえば退路を閉鎖するだけで調査兵団の補給線は絶たれる。
そうなったら後は皆力尽きるまで待てば戦わずして巨人側の勝利となるわけだ。
調査兵団に“長期戦”の選択肢はない。
チョイスできる選択肢は“短期戦”のみ。
「だ、団長!鎧がすぐそこまで…それにベルトルトがまだどこにいるか…」