第71章 ウォール・マリア奪還作戦
爆発の衝撃で舞い上がった砂埃から現れたのは、数え切れない程の無垢の巨人。
そしてその真ん中にはエルヴィン達が危惧していた“獣の巨人”が姿を現した。
全員がその衝撃に凍りついていると、獣の巨人は大きな岩を右手で掴み、思い切り振りかぶって投げつけてきた。
「投石くるぞ!!全員伏せろぉぉぉぉ!!!」
「嘘…でしょ…?!」
あんな大きな岩をまるでボール遊びをしているかのように軽々と投げてくる。
しかし、こちらに向かってきてるのはボールではなく大岩だ。
クレアも頭を抱えてしゃがみ込むと、その衝撃はすぐにやってきた。
ードォォォォォォンッ!!!ー
しかし、その岩は壁上にいる兵士でもなく、地上にいる兵士でもなく内門に空いた穴にぶつかった。
「いいコントロールだな…」
一見外したようにも見えるが、エルヴィンはそうは思わなかった。
「ヤツは扉を塞いだ。馬が通れない程度にな。まず馬を狙い包囲する。我々の退路を断ちここで殲滅するために…我々は互いに望んでいる。ここで決着をつけようと…人類と巨人共、どちらが生き残り、どちらが死ぬか…」
無数の無垢の巨人が人間が密集している壁に向かって走りださないあたり、獣の巨人は無垢の巨人を操る事ができるようだ。
刃が無力な鎧の巨人に、巨人化するだけで全ての物を吹き飛ばす超大型巨人。
それに膨大なパワーを持った巨人を操れる獣の巨人。
シガンシナ区側には鎧の巨人が、ウォール・マリア側には獣の巨人が大型の巨人を壁の様に隊列を組ませて調査兵団を挟み撃ちにしようとしている。