第71章 ウォール・マリア奪還作戦
「それにしても麓はまだかな〜?もうそろそろ夜明けじゃない?」
「分隊長、この山さえ越えればシガンシナ区はすぐそこです。」
「あ…ハンジさん、この辺なんだか見覚えがあります!!」
「えぇ?!本当に?」
「はい、なんとなくですが…昔薪を拾いに来ていた場所の様な…」
「それならもうすぐだね!!」
「はい…そうだとよいのですが……」
すると、前方の兵士が後方に向かって叫んだ。
「麓が見えたぞ!!」
「街道跡がある!!」
どうやらクレアの記憶は正しかったようだ。
「よっしゃあ着いた!!」
街道跡まで辿り着くと、全員馬に乗りシガンシナ区を目指す。
「日が昇ってきたぞ!!物陰に潜む巨人に警戒せよ!これより作戦を開始する!!総員立体機動に移れ!!」
エルヴィンの号令と同時にシガンシナ区の内門が見えてきた。
いよいよ作戦決行だ。
「デイジー、また後でね!!」
クレアはデイジーに声をかけ頸をひと撫ですると、無事の再会を願いながら力強くトリガーを引く。
「モブリット!クレア!行っくよーー!!」
「「はいっ!!!」」
思い切り飛び上がると、そこに広がる景色は生まれ育った懐かしき故郷。
「……………」
父は、母は、安らかに眠っているだろうか…
それとも、気鬱だった娘が調査兵となってシガンシナ区を取り戻しに来たなんてと、驚くだろうか。
クレアは生家のあった方角をチラリと見て心の中で両親にシガンシナ区奪還を誓うと、まず第一目標である外門に向かって飛んで行った。