第71章 ウォール・マリア奪還作戦
そのためには生きて帰還する事。
何度目かの誓いを胸に刻み込むと、クレアは前を向いて前進した。
「ひ、左に巨人!!全体停止して下さい!!あと明かりを!!」
しばらくの間、皆黙々と歩いていたが、前方にいたジャンが少し慌てた様子で声を上げた。
巨人を発見した模様だ。
ハンジとクレアは刃を向けて臨戦態勢をとったが、その巨人は大木に背中を預けて眠っていた。
「……大丈夫、ぐっすり寝てる。この子も夜に動くっていう新種ではないようだね…ハハッ…残念だな。ほっといてやろう。」
ハンジの言葉に皆安堵のため息をつき、再び前進を始める。
「それにしても…こんな距離まで近づかないと気づかないんですね…」
自分達は今、暗闇の中巨人の領域を歩いてるのだと改めて痛感させられた。
「確かにそうだけど、でも私達はきっとこの闇夜に守られている…」
「え…?」
「コニー達が夜に動く巨人と遭遇したのは月明かりの夜だった。月の光は太陽光の反射だからね。新種の巨人はその微量な日光を糧にして動いてるって仮説が正しければだけど…新月を選んで正解だった。あの子も“月光の巨人”だったかもしれないからね。あ〜、いつか捕獲できたらなぁ!!」
「そう…ですね…」
ー月の光は太陽光の反射ー
今まで巨人の活動には日の光が必須だと言われてきた。
壁の中にいた巨人が今まで動き出さなかったあたりそれは真実なのだろう。
しかし奇行種と呼ばれる巨人がいるくらいだ。
微量の太陽光でも動ける“新種”が現れてもなんら不思議ではない。