第71章 ウォール・マリア奪還作戦
ウォール・マリアを巨人により奪われて5年の月日がたった。
壁内の領土の3分の1を失った人類は多大な財産と人名を失った。
明日も生きていられるか…
それを決めるのは人類ではなく、全ては巨人に委ねられてきた。
なぜなら人類は、巨人に勝てなかったからだ。
では、ウォール・マリアを奪還できたなら、人類は何を叫ぶだろうか。
人類はまだ生きていいのだと、信じる事ができるだろうか…
自らの運命は自らで決定できると、信じさせる事ができるだろうか…
ウォール・マリアさえ、奪還すれば………
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ーザクッザクッザクッー
調査兵団は予定通り山越えをしていた。
足場は悪いが順路は間違えていないため、後は麓に着くまでひたすら馬を引いて歩くだけだ。
「わっ!!」
「クレア!?」
光る鉱石をランプに入れて歩いていたが、クレアはゴツゴツと埋まっている石に気付かずにつまづいてしまった。
「大丈夫?!」
「は、はい…すみません、大きな声を出して…」
転倒する寸前でハンジが腕を掴んで阻止をしたため怪我は免れたが、気をつけなくては。
クレアは深呼吸をすると、再び歩き始めた。
「……………」
トロスト区の兵舎にいた時だって、夜に出歩いた事はほとんど無かった。
夜の街は治安が悪いからとリヴァイやハンジからは1人で出歩くことをとめられていたため、クレアはほとんど夜道というのを歩いた事が無い。
少なからず緊張はしていた。
今日は新月で月明かりは皆無。
そしてここは巨人の領域。
治安が悪いなんてレベルの話ではないのだ。