第71章 ウォール・マリア奪還作戦
「ハンジさぁぁぁぁぁん!!!」
フレーゲルは父を殺され逃げ回っていた所をハンジの言葉によって大きく救われたのだ。
もはや恩人と言ってもいいだろう。
「ハンジさん、すごい支持されてますね!!」
「ま、まぁね…逃げるとゴネてた坊っちゃんもすっかり商会の会長だ。これからは彼がトロスト区を守ってくれるよ。なんかしみじみしちゃうね!」
すると今度はその声援に応えるように104期の新兵たちが騒ぎだした。
「任せろぉぉぉぉぉぉ!!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
なんだか調査兵団とトロスト区の民衆の想いが1つになった様な、温かな気持ちになったクレア。
今まで罵声を浴びせられる事が多かった調査兵団だったが、命懸けのクーデターによりその印象は大きく変わり、民衆の心を動かしたのだろう。
その証拠に、いつまでたっても激励の言葉が終わらない。
「おいエルヴィン、調査兵団がこれだけ歓迎されるのは…いったいいつ以来だ?」
「冗談はよせリヴァイ…今までそんな事あったのか?私が知る限りでは…初めてだ。」
「ハッ…だな…」
リヴァイとエルヴィンでそんなやり取りをしていたらいよいよ日没。
出立だ。
「うぉぉぉぉぉ!!!ウォール・マリア奪還作戦!!開始!!心臓を捧げよ!!」
全兵士、オレンジ色に染まった空を背景に敬礼すると、民衆の歓声に背中を押されながら壁の反対側へとおり、馬を走らせた。
「進めぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
大きく砂埃を上げると、調査兵団は人類の未来を背負いシガンシナ区へと向かった。