第71章 ウォール・マリア奪還作戦
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そして、兵団全体で最終確認を終えるといよいよ出立だ。
トロスト区の壁上に全ての荷物と馬を引き上げると、何やら騒がしくなってきた。
「…どうしたのかしら?」
デイジーの手綱を握りながら壁の下を見ると、民衆が何かを叫びながら手を振っている。
作戦の決行日は公にされていなかったはずだが、どうしたのだろうか。
無謀な遠征だと野次を飛ばしにきたのだろうか。
クレアや周りの兵士達が彼らの声に耳を傾けるが、その内容は想像とは大きく異なるモノだった。
「ウォール・マリアを取り返してくれぇぇぇぇ!!」
「人類の未来を任せたぞぉぉぉぉ!!!」
「リヴァイ兵士長!!!」
「この街を救ってくれてありがとぉぉ!!」
「全員無事に帰ってきてくれよ!」
「でも領土は取り戻してくれぇぇぇ!!」
民衆は調査兵を激励し、見送りに来たようだ。
中には無茶な事を叫んでいる者もいるが、皆明るい笑顔だ。
「勝手言いやがる…」
そう吐き捨てるリヴァイの表情も悪くない。
「でもなんで今日が出立だってバレてしまったのでしょうか?」
「まぁ、あんだけ騒いだらバレるよね…あ、ってか、肉を取り寄せたのって確かリーブス商会からだ…」
「って事はフレーゲルさんが?」
「みたいだね!!ホラ、あそこ。」
クレアの問いに答えたハンジはこちらに向かって涙を流しながら手を振っているフレーゲルを見つけて指をさした。
きっとフレーゲルが街の人間に漏らしたのだろう。