第70章 前夜・交わる想い
「……ダメだ…部屋まで送るから戻れ……」
「え……?!」
その返事はクレアの望んでいるモノとはまったく正反対だった。
口調は怒っていないが、断られてしまった。
あの時は何時でもいいと言っていたのに…何故?
しかしリヴァイは本気でクレアをベッドに入れるつもりはないようだ。
はだけていたシャツのボタンをとめて、立ち上がろうとしている。
「イヤ…イヤです…」
「………!?」
「兵長…言ったじゃないですか…いつきてもいいって…」
「……チッ」
今にも壊れてしまいそうな小さな身体で精一杯食い下がるクレアに、リヴァイは思わず舌打ちをしてしまう。
「どうして…ですか?」
「大事な作戦前だからだ…お前を傷つけたくない…ほら、行くぞ…」
シャツのボタンを全てとめたリヴァイはベッドから立ち上がると、さっさと行くぞとクレアに視線を送った。
「傷つけるって……何の事ですか?」
クレアは本気でわからなかった。
リヴァイとはケンカをしたわけでもない。
なんでこんなにも冷たい態度をとられるのか、クレアにはわからなかった。
しかし一方でリヴァイは、心も身体も、クレアを欲する欲望で爆発寸前だ。
「なんでわからねぇんだよ!?!確かにそのカギを渡した時はそう言った…だがあんな事になってまだ時間もそんなにたっていない…それでも俺はお前に対していつだって欲まみれだ…笑っちまうくらいにな!…だからこんな夜中にこられても紳士に振る舞える自信がない。だからもう戻れ…!」
理性があるうちにさっさと出ていってもらいたくて、つい声を荒げてしまう。
だがそれでもクレアは首を縦には振らなかった。