第70章 前夜・交わる想い
「はぁ…はぁ…あ、あの兵長…わたし……」
「…あぁ、物騒なモン出して悪かった…それにしたって、気配を消して来るなよ…こっちが驚くじゃねぇか…」
リヴァイは持っていたナイフを引き出しにしまうと、ベッドサイドに腰かけてクレアを見た。
こんな夜中にいったい何をしに来たんだ。
リヴァイは時計をチラリと見ると、その針は0時を回っていた。
「ご…ごめんなさい……へいちょう…」
「いや、謝らなくていい…こんな時間にいったいどうしたんだ…」
よく見ればクレアはいつものブカブカとした無防備な部屋着を着ている。
今日の分の仕事もちゃんと終わらせたし、急用などは思い当たらない。
正直我慢をしている身でこの姿にこの状況は非常に毒だ。
クレアには悪いが、要件を言ったらさっさと出ていってもらいたい。
そんな事を考えていたらクレアが今にも消えてしまいそうな小さな声でポツリと言った。
「……が……………ったから…」
「…なんだ!?もう1回言ってくれ。」
しかし、その声が小さすぎて聞き取れなかった。
「で、ですから……!兵長が前に…眠れなかったら何時でも来ていいって仰ってたから……」
「…………」
「兵長……どうしても眠れないんです…一緒に寝てください……!!」
そう言い切ると、クレアはリヴァイの目を直視する事ができなくなってしまい、ギュッとスカートの裾を握り目を閉じてしまった。
鏡を見なくても顔が赤くなってるのがわかる。
胸に手を当てなくても心臓がうるさいのがわかる。
クレアは緊張と恥ずかしさで、その場でうずくまりたくなってしまったが、懸命に足を踏ん張らせながらリヴァイの返事を待った。