第69章 仲間
「…………」
胸に手を当てれば自身の心臓は、リヴァイとのキスの興奮がまだ鎮まらないと言いたげにうるさく高鳴っている。
しかし、ドキドキと脈打つ心臓に手を当てながらボンヤリと真っ白な天井を見つめていると、自然とあくびが出てきた。
だいぶ動くようにはなったが、全快するまでにはまだ休息が必要なのだろう。
ドキドキと心臓はうるさくても、身体は睡眠を求めてクレアを眠らせようとしている。
「んん……なんだか眠くなってきちゃった……」
段々と重くなってくる瞼に身を任せていたら、いつの間にかクレアは夢の世界へと意識を手放していた。
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夕刻
2時間ほどの眠りから覚めたクレアは、エルヴィンから貰った焼き菓子を食べながら、ハンジが持ってきた化学書の続きを読んでいた。
専門用語だらけでさっぱり理解できないが、ハンジは毎日こんな本を読んでは、あーでもないこーでもないと言っている。
自分は、“教えてやる”と言われてもきっと、どこがわからないのかすらわからない状態だ。
あーでもないこーでもないと言える程理解しているハンジはやはり頭の作りが凡人とは違うのだろうと、クレアは改めて感心をした。
「ふぅ……」
チカチカと少し疲れた目を擦りながら時計を見ると、もう訓練の終了時間は過ぎていた。
「あ、もうこんな時間…みんな、疲れてるだろうな…」
今日も皆汗を流して訓練に励み、今頃は風呂の準備でもしている頃だろうか。
そんな事を考えていたら、医務室の扉がバタンと勢い良く開き、あまりにもの衝撃音にクレアはビクッと肩を震わせた。