第69章 仲間
「ん……んん……」
逃げられない様に、後頭部に手の平をスライドさせると、そこにはクレアの細い首。
クレアの首も、腕も…腰も脚も…どこの部位に触れても、折れてしまいそうな程に細くて、華奢だ。
そんなクレアを捕まえて、逃げられない様にこの腕の中に閉じ込めて、押さえこんで、思うがままにしてしまいたい。
久しぶりの口付けに、リヴァイの熱は一気に上がってしまったが、漏れでるクレアの吐息にハッと我に返ると、そっと唇を離した。
「はぁ…はぁ…兵長…?」
頬を上気させて懸命に酸素をとりこもうとするクレアのそんな仕草1つでも、リヴァイの理性は崩壊寸前だ。
だが、間もなく午後の訓練が開始する。
「いや、なんでもない。ちゃんと寝とけよ…」
そう言ってクレアの唇の端に溢れた唾液を親指で拭ってやると、リヴァイは食堂のトレーを2段に重ねて医務室から出ていった。
「…………」
突然重なった唇に、目を白黒させながらしばらく呆然としてしまったクレア。
久しぶりに感じたリヴァイの熱は、強引で情熱的で、でもとても優しくて…
自分の記憶している通り、それは以前と変わることなくクレアの胸をうるさく高鳴らせた。
「も、もう……」
こんなにドキドキさせられたら寝ろと言われても眠れないではないか。
文句の一言でも言ってやりたかったが、当の本人はもう出て行ってしまっていない。
クレアは枕の上に一時避難させていた焼き菓子の残りを再びサイドテーブルに移動させると、ため息をつきながらそのまま後ろにドサリと倒れるように仰向けになった。