第69章 仲間
「ご心配おかけして申し訳ありませんでした…正直な気持ちをお話すると…夜中に目が覚めてしまったりすると、少し胸がざわつきます。でも、私は皆さんと一緒に戦いたいので…今は前しか見ておりません。それと、もう身体はどこも痛みません。」
「了解した…」
ちゃんとリヴァイの目を見て語られた言葉には、嘘も偽りもない、心からの クレアの気持ちで間違いはないだろう。
リヴァイはその言葉と表情にひとまず安堵すると、クレアを抱きしめた。
いつ抱きしめてもクレアは小さい。
強い風が吹けばどこか遠くへ飛んでいってしまいそうな程に。
だが、懸命に語るクレアの目には、早く身体を治して戦いたいという情熱で滾っている。
「なので…兵長も、もう心配しすぎないで下さいね…私はもう…大丈夫ですから…」
「お前はカッとなると周りが見えなくなる事がある。それに、男に対してはいつも無自覚鈍感奇行種だ。心配するなっていうのが無理な話だな…」
「うっ……」
「だが、ちゃんと前を見る事ができてるというのは伝わった。夜中目が覚める回数が多いならちゃんと薬を出してもらえよ…」
「は、はい…わかりました。」
「じゃあ…またな。また来る。ゆっくり休んでろよ…」
リヴァイはクレアの目を見てそう言うと、最後にその愛しい唇にキスをした。
久しぶりに重なった唇に、痺れるような感覚がリヴァイを襲う。
クレアの唇は甘くて、柔らかくて重ねただけではもの足りず、もっともっとと身体が求めてしまう。
気付けばキンモクセイの香りに誘われて、リヴァイは深く深くその口内を貪ってしまっていた。