第69章 仲間
「兵長…?」
「1人の時に痛んだり…気持ちが不安定になる事は…ないか?」
リヴァイは腹に当てられた手の上に自身の手を重ねた。
ついこの間まで2人の血を受け継いだ尊い命が宿っていた場所だ。
今は天に召されてしまい、ここにはもういない。
クレアはパッと見る限りでは、元気そうだ。
身体を起こす事もできるし、食事も食べられる様になった。
体力も回復してきている。
見舞いに来る者がいれば笑顔で迎え入れている。
でも、それは本当に心からの行動なのだろうか。
どこか、無理をしているのではないかと、リヴァイの心の中はモヤモヤとする気持ちが払拭しきれないでいた…
訓練を休んでいる事に後ろめたさを感じているのではないか…
そして、尊い命を失った傷が癒えずに心が膿んだりしていないだろうか…
自分は男だ。
もちろん自分だって悲しい気持ちにも悔しい気持ちにもなった。
クレアが自身を責めたように、自分も自身を責めた。
だが、自分は実際に命を宿したわけでも、実際に子が流れる苦しみを経験したわけではないのだ。
どんなに痛みを共有して支えてやりたくても、男と女では違いが大きすぎて、自分がとれだけクレアの支えになってやれてるのか自信がなかった。
何か抱えている想いがあるのなら吐き出させてやりたい。
そんな気持ちでいっぱいだったが、どのタイミングでどう聞いたらいいのかわからず……
だいぶ日数がたってしまった。
だが、聞かなければわからない。
リヴァイは重ねた手をギュッと握りしめると、クレアは反対の手をリヴァイの手の甲に重ねて、その問いに答えた。