第69章 仲間
「兵長……」
エルヴィンの本当の気持ちを知らないクレアはリヴァイの言っている事がわからず困り顔だ。
「はぁ……」
しかし、だからと言ってエルヴィンの気持ちを教えてやるつもりはないのだ。
それにクレアをこんな顔にしたくて来たのではない。
リヴァイは大きくため息をつくと、ここに来た目的を思い出し、昼食がのったトレーを1つクレアに渡した。
「まぁいい…だがもう俺以外の男の前で、あんな無防備な顔見せるなよ。」
「私…そんな無防備な顔してましたか?」
「あぁ、もう無防備通り越してユルユルだったな……」
「う……以後、気をつけます……」
ユルユルだったと言われたクレアは違うと反論したかったが、大好きなベリー味の焼き菓子を前に我を忘れて頬張っていたのは事実。
リヴァイがそう言うのならきっとそうなのだろう。
クレアはリヴァイにポツリと謝罪をした。
「別に怒ってはいない。ただ、あんな顔をしていいのは俺の前だけだ。今度エルヴィンがお前の好みの菓子を買ってきてもユルユルになるなよ?いいな?」
「は、はい……」
「わかったならいい。ほら、冷める前に食っちまうぞ。」
リヴァイはそう言うと、クレアの膝の上に乗っているトレーを指さす。
「あの…兵長…もしかして、私と一緒に食べるためにわざわざ持ってきて下さったのですか…?」
「そうに決まってるだろ。朝はガキ共に邪魔されたからな…こうでもしないと話もできない。」
「兵長……」
医務室で絶対安静になってからは、朝の仕事も手伝えなくなってしまい2人で話す時間はほぼ皆無だった。