第69章 仲間
「……………」
エルヴィンが出ていくと、医務室には買ってきた薬品を片付ける医師と、不機嫌な顔でイスに腰掛けるリヴァイ。
クレアは口に入っていた焼き菓子を猛スピードで咀嚼しゴクリと飲み込むと、冷や汗をかきながらエルヴィンが置いていった残りの焼き菓子をかき集めて枕の上に緊急避難させた。
「あ、あの…兵長…お疲れ様です…」
「エルヴィンと仲良く茶しばいていた所に悪かったな…」
「そ、そんな事…」
聞かなくてもわかるほど機嫌が悪い。
どうしたものか…
「リヴァイ兵長、私は食堂で食べてきますので、どうぞごゆっくりしていって下さい。」
「あぁ、すまない…」
クレアが頭を悩ませていると、片付けを済ませた医師が気を利かせて医務室から出て行ってしまった。
この状態で2人にされるのは非常に気不味い…
「はぁ…お前は甘い物をチラつかせたら誰彼構わずついていくのか?」
「そんな事ないです!!これは団長のご好意で持ってきてくださったんです。そしたらたまたま私の好きなベリー味が入っていて…ちょっと我を忘れてしまっただけです。」
「その“我を忘れていた”が問題だと言っている。ったく、エルヴィンにとって食われても知らねぇぞ…」
「兵長…団長はお見舞いに来て下さっただけですよ?それはあんまりでは…」
クレアは今までエルヴィンにギリギリの事をされていたにも関わらす、その気持ちにまでは気づいていなかった。
そのため当然だが、リヴァイの言ってる事は理解できていない様だ。
「はぁ…それだからお前は無自覚鈍感奇行種なんだよ…」