第69章 仲間
ノックとほぼ同時に開いた扉。
カチャリと開く音に2人が扉の方を見ると、そこには禍々しい負のオーラを放つリヴァイと、大きな紙袋を抱えた医師が立っていた。
「兵長…?」
「リヴァイ…」
リヴァイは昼食の乗ったトレーを2段に重ねて持っていた。
時計を見たらもう正午を過ぎていたため、リヴァイはクレアと一緒に食べようと持ってきたに違いない。
しかし扉を開ければ、美味しそうに菓子を頬張るクレアと、そんな姿を実に楽しそうに見つめているエルヴィン。
リヴァイが不機嫌になるのにそう時間はかからなかった。
「おや、エルヴィン団長。こちらにいらしてたのですね。」
買い出しから帰ってきた医師はエルヴィンに挨拶をすると、カチャカチャと買ってきた薬品を棚に片付け始めたのたが…
「おい…ウォール・マリア奪還作戦も間もなくだってのに、こんな所で油を売れるほどお前は暇なのか?エルヴィンよ…」
リヴァイがエルヴィンにした挨拶は実に刺々しいモノだった。
「あぁ…すまないリヴァイ。クレアを見舞いに来たのだが、ついつい長居をしてしまった。リヴァイはここで昼食か?」
「そのつもりだが…?」
「私は仕事に戻ろう。クレア、これは後でゆっくり食べなさい。クレアは太るだのなんだのと気にする必要はない。また内地に行った時に土産で買ってくるよ。」
エルヴィンはイスから立ち上がると、残った焼き菓子をサイドテーブルに残してトレーを手に取った。
「あ、あの団長…!ご、ご馳走さまでした!!」
立ち上がったエルヴィンにクレアが礼を言うと、エルヴィンはリヴァイに見えぬ角度で柔らかくウィンクを飛ばして医務室を出ていった。