第69章 仲間
「こ、これは…」
「ん…?どうした?」
エルヴィンから受け取った焼き菓子の袋には“3種のベリー味”と書かれていた。
「3種のベリー味と書かれています!!!」
「あ、あぁ…そうだね。苦手な味だったかな?」
急に真顔になったクレアを見たエルヴィンは好みではない味だったのかと思った様だが返ってきた返事は予想とは違うものだった。
「私…苺とか…ブルーベリーとかがだ、だ、大好きなんです!!!」
「そ、そうだったのか…それはよかった。確かこれは期間限定と札がたってたから多めに買ってきたはずだ。ほら…」
驚かせないでくれと心の中で呟いたエルヴィンは、皿の上をガサガサとわけると、多めに買ったベリー味をクレアの膝の上にポンポンと置いてやる。
すると、クレアはカタカタと震えながら喜びの言葉を口にした。
「あぁ…あぁ!!こ、こんなにたくさん…私…訓練を休んでいる身なのに…こんな贅沢を…うぅ…美味しい…美味しいです!!」
「…………」
美味しい美味しいと言いながら嬉しそうにパクパクと頬張るクレア。
今まで何度か内地で買ってきた焼き菓子を出してやった事はあったが、いつもしとやかに食べてる姿しか記憶にない。
クレアが入団してまる2年と少したつが、こんな風に無邪気に喜んで食べてる所など初めて見た。
新たな一面を発見したエルヴィンは、美味しそうに頬張るクレアから目が離せなかった。
苺やブルーベリーが好物だとは知らなかった。
こんなに喜んで美味しそうに食べるのなら、今度内地に行った時はベリー味の菓子を山程土産にして驚かしてやりたい。
そんな事をボンヤリと考えていたら医務室の扉が開いた。