第69章 仲間
「ごめんなさい兵長…1日中ベッドの上なので、誰かが来てくださると嬉しくてつい…私も早く訓練に戻りたいです。」
「はぁ……」
素直に謝られてしまえばリヴァイは何も言えなくなってしまう。
「あんまりアイツらを甘やかすなよ。」
「はい…兵長も、あまり厳しくしないであげてくださいね。」
自分だってゆっくりクレアと朝の挨拶を交わしたかったが、先客がいたためもうタイムリミットだ。
「我慢をしているクレアの言葉に免じて、訓練は“そこそこ”にしといてやる。」
リヴァイは立ち上がってクレアの額にキスを落とすと、名残惜しく医務室を出ていった。
間もなく訓練開始の時間だ。
今日はどんな訓練をするのだろうか。
食事も摂れて体力が回復してきているクレアにとっては退屈な時間だ。
クレアは、サイドテーブルに置いてあるハンジが持ってきた難しい化学書なる物を手に取ると、暇つぶしに読み始めた。
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ハンジから借りた化学書は小難しいどころではなく、専門用語ばかりでいくらハンジ班の奇行種クレアといえど、内容の半分も理解できなかった。
だが、ハンジが“退屈だろうから”と言ってわざわざ執務室から持ってきてくれたのだ。
昼食まで他にやる事はない。
クレアは難しい専門用語とにらめっこしながらゆっくりと読み進めていった。
分厚い化学書とにらめっこする事2時間弱。
さすがに目が疲れてきたクレアは天井を仰ぎながら大きく伸びをして首をぐるりと回す。
そして少し凝ってしまった肩をストレッチしていると、医務室の扉がノック無しにカチャリと開いた。