第69章 仲間
6人は、忘れていたわけではなさそうだ。
ただ、ついつい長居をしてしまったのだろう。
気不味そうに視線を左右に泳がせながら、それぞれ肘を使って無言で小競り合いをしている。
「へ、兵長…ごめんなさい!!!エレン達はただ挨拶しに来てくれただけなんです。ですが、私ったら馬具点検だとは知らずにあれこれ訓練の事を聞いてしまって…言い出せなかったんだと思います。みんな引き止めちゃってごめんね!!ほら!!さっ、行って行って!!」
「あっ…クレアさん…!」
クレアはベッドから身をのり出して皆の肩を押すと、両手をパチンと合わせてさっさと出ていくように促した。
ただでさえ暑い真夏の訓練。
リヴァイの機嫌を損ねてスパルタ訓練になったらかわいそうだ。
クレアはとっさに“自分が引き止めてしまった”風を装ったのだが、目の前にいる不機嫌なオーラを纏った人類最強の兵士長は、大きなため息をつくと、ベッドサイドに置いてある丸イスにドカリと座り脚を組んだ。
「お前はいつからガキ共の味方になったんだ…」
「兵長…」
むすくれたその顔は、不機嫌とヤキモチが伺える。
この様子だと自分のした小細工など、始めから見抜かれていた様だ。
「あの…もしかして…バレてましたか?」
この状況を打破する案も思い浮かばず正直に白状すると、リヴァイは2度目のため息をついた。
「お前ほど嘘のわかりやすいヤツはいねぇよ…」
「そ、そうですか…すみませんでした…」
「ったく…あいつら…なんだかんだ理由をつけてクレアを押しかけやがって…」
リヴァイは心底ご立腹の様だ。