第69章 仲間
「あ、ううん…何でもないの!みんな、とっても仲いいなと思ってね?」
クレアは心の内を悟られまいと両手をブンブンと振ってみせる。
「そうですか?訓練兵団ではジャンとエレン、毎日のように言い合いしてましたよ?まぁ、今でもしてますけどね。」
「そうなの!?まぁ、喧嘩するほど仲がいいとも言うし、それに言い合いなんて、心を許してる物同士でなければできないのよ?だからジャンもエレンも仲良しよ。」
サシャの告げ口に、サラッと返したクレアだったが……
「「違いますよ!!!」」
「「おい!真似すんなよ!!」」
エレンとジャンは見事なハモりを披露してしまい、皆で大笑いだ。
「ふふふ、ハンジさんと兵長みたい!!」
クレアもつられて笑うと、この和やかな雰囲気にはとても似つかわしくない、不機嫌な声が突然やってきた。
「ほう…あのクソメガネと俺がなんだって…?」
陽気な笑い声で包まれていた医務室が一瞬にして凍りつき、シンと静まる。
「リ…リヴァイ…兵長…」
その声に、凍りついた104期が恐る恐る扉の方を見ると…
そこには腕を組んで眉間にシワを寄せたリヴァイが立っていた。
「兵長……」
今しがた発した自分の発言を深く後悔したクレアだったが、時既に遅し。
不機嫌な顔のリヴァイはコツコツとブーツの踵を鳴らしてこちらに近づいてくる。
「お前らここで何している?今日は馬具点検をするから早目に厩舎に来いと言っていただろう。」
「……………」
どうやら今朝は全員で馬具点検をする日だった様だ。