第68章 出会いと別れ
「それなら…お前もやめろ…俺達がこんなに自身を責めている姿なんて、きっと見たくないはずだ。」
「………!?」
リヴァイの言葉でクレアは意識を取り戻す前の事を思い出す。
ー自分を責めて泣かないでねー
クレアがリヴァイに自身を責めて欲しくないと思った様に、リヴァイも同じ気持ちだった。
だからきっと、天に召された小さな命も、最後の最後まで“自分を責めないで”と言ったのだろう。
いつまでも自身を責めて泣いている両親など…
見たくないはずだ。
わずかな期間だが、この胎内に宿ってくれた小さな命の言っていた事の意味をようやく理解する事ができた気がすると、クレアは声を上げて泣き出した。
「あぁぁぁぁ…!!うぅぅぅぅ…!!兵長…へい…ちょう……うっ…うぁぁぁ…!!」
リヴァイのジャケットを掴んで震えながら泣き叫ぶ。
「ごめんなさい…ごめんなさい兵長……私…私…もう自分を責めたりしません…だから…兵長も…ご自身の事を最低な人間だなんて…言わないで下さい…」
「あぁ、わかってる。わかっているから…今は、泣きたいだけ泣いたらいい…お前の心が軽くなるまで、俺はこうしてる…」
悲鳴が混じったクレアの悲痛な叫び声は、リヴァイの胸に深く刺さり刺々しい痛みを与えた。
それでもリヴァイはクレアの全てを受け止めたくて、強く強く抱きしめる。
腕の中にすっぽりとおさまってしまうほどに小さなクレアが、どこかに消えてしまわない様に、リヴァイは力を込めてしっかりと抱きしめた。
そんな2人の姿はまるで同じ痛みを共有しているかの様だ。