第68章 出会いと別れ
「はぁ…はぁ…あ…うぅ……」
下腹部の強い痛みに息苦しさ、嘔吐感、それに滝のように流れてくる尋常じゃない量の汗。
痛みは時間毎に、分毎に、そして秒毎にどんどん強くなりクレアの心と身体を、不安と恐怖で埋め尽くしていく。
腰のあたりの骨を万力で締められてる様な痛みで、もう骨ごと砕けてしまいそうだ。
「あ゛ぁ……いやぁ…!!」
経験した事の無い痛みが、さらに強大になり襲いかかると、クレアは天井を仰ぎながらとうとう断末魔の叫び声を上げてしまった。
「キャァァァァァァ!!!もう…もうダメェ…!!」
「クレア!?」
「クレア君?!」
ベッドの上で暴れるクレアの下半身からはジワリジワリと血のシミがひろがっていく。
この状況は非常に危険だ。
「ハンジ分隊長!!出血が増えています。非常に危険です!リヴァイ兵長が戻られたらすぐに診察できる様にズボンと下着を脱がしておきましょう。」
「わ、分かった…」
医師が毛布を下半身にかけ直すと、ハンジはベルトを外して、靴下から下着まで、着ている物を全て脱がせた。
「………」
脱がしたスボンも下着も、血液で真っ赤に染まり、ズシリと重い。
その違和感のある重みにハンジの背筋は凍りつく。
どうか、クレアが死んでしまうなんて事にはならないで欲しい。
「クレア…何もしてやれなくてごめん…もうすぐリヴァイが専門の先生を連れてきてくれる。だから…頑張って!!」
そんな想いでいっぱいだったハンジは再度クレアの手を握りながら懸命に励ました。