第68章 出会いと別れ
リヴァイが出て行くと、医師は手を洗い処置の準備に取りかかる。
「申し訳ないのですがハンジ分隊長…お手伝いをお願いできませんか?」
「もちろん!大丈夫です!」
ハンジはジャケットを脱いで応接セットのソファに放り投げると、腕まくりをした。
「ありがとうございます!ではまずクレア君の立体機動装置とベルトを全て外しておいて下さい。」
「あぁ、分かった!!」
ハンジはベッドのカーテンをあけてクレアの身体を起こすと、言われた通り身につけている物を外していった。
「はぁ…はぁ…ハンジ…さん?」
「クレア、頑張って?今先生が処置の準備をしている。だから立体機動装置とベルト、外すよ?」
「は、はい…すみません……」
力なく頷くクレアの顔は変わらず真っ青で、脂汗でびっしょりだ。
顔だけではなく、ジャケットを脱がせて立体機動装置を外せばシャツもズボンも汗でジトリと湿っている。
「クレア、こっち向いて?」
装備の解除を済ませたハンジは、タオルを水道の水で絞ると、汗だらけの顔や首元を拭いてやった。
「あぁ…!うぅ…!」
再び強く痛み出したのか、クレアはくの字になってガチガチと震えだした。
「クレア!?痛いの?しっかりして…?!」
「痛…い…お腹が…痛い…」
「クレア…」
どうしてやる事もできず、背中をさすっていると、医師が入ってきた。
銀色のトレーには点滴の準備がされている。
「ハンジ分隊長、ありがとうございます。早速点滴で薬を入れましょう。」
医師が点滴を打とうとしたのだが、クレアは腹を抱えてうずくまってしまっている。