第68章 出会いと別れ
「そうかい…話を聞くと、今朝から生理が始まったみたいだけど、今月はどうだったかい?遅れていたりしたかな?」
この問いにも首を縦に振る。
「何日遅れてきたか、答えられるかい?」
「う…うぅ……」
クレアはカタカタと震える指を3本立てて医師の前に出した。
「3日、かな?」
クレアは首を横に振る。
「それじゃあ…3週間、かな?」
3週間、と聞いてクレアは首を縦に振った。
「…………」
3週間生理が遅れて体調不良…そして嘔吐に激しい腹痛。
クレアの話を聞き、医師はこの出血に1つ思い当たる事を見つけると、ベッドのカーテンを閉めてハンジとリヴァイの前に立った。
「おい!クレアは大丈夫なのか?!」
苦しむクレアの姿に耐えかね声を荒げてしまうリヴァイ。
だが、医師の口から語られた言葉に、2人共言葉を失う事になる。
「ハンジ分隊長、リヴァイ兵長。クレア君はおそらく、流産を起こしかけています。」
「え……?」
「なん…だと…?」
「順調だった生理が3週間も遅れてるとなると…まぁストレスによる生理不順だろうと診断する時もあるのですが、この出血量に嘔吐腹痛となると、妊娠していた可能性が高いです…その…聞きにくいのですが…クレア君は…」
そこまで言うと、少し気不味そうにリヴァイの方を見る。
リヴァイとクレアの関係をなんとなくの雰囲気で察してはいた。しかし医師は、診断をするにあたり2人の間に性交渉があったのか直接どちらかの口から確認したかったのだろう。
「あぁ…俺とクレアは“そういう仲”だ…」
リヴァイは医師の知りたがってる事に素直に答えた。