第68章 出会いと別れ
「………」
サシャに声をかけられて指さされた方を見ると、確かにハンジとモブリットが何やら慌てている。
リヴァイはこの時点でもう嫌な予感しかしなかった。
「クソッ…!!」
「あっ!兵長…?!」
急に走り出したリヴァイにサシャ達はどうしたのかと声をかけたが、返事は返ってこなかった。
つられる様に皆もハンジの方まで走り出す。
「ハンジ!!いったいどうした…!?…っておい!クレアか!??どうしたんだ?!」
ハンジの肩を思い切り掴んで声をかけたリヴァイだったが、そのハンジの足元でうずくまってるクレアが目に飛び込んでくると、血相をかえて声を荒げた。
「リヴァイ…私達にも分からないんだ…今朝から体調が良くなさそうだったからもう休ませようと思ったんだけど、急に苦しみだして…」
「チッ……」
やはり無理矢理にでも今朝医務室に連れていけばよかった。
膝をついてクレアを起こそうとすると、今しがた吐いたと思われる吐瀉物が目に入る。
体調不良に嘔吐に…それと、腹をかかえてるあたり腹痛だろう。
「クレアは朝俺の部屋に来た時から顔色が悪かった…とにかく医務室だ…俺が連れて行く。モブリット、悪いがこの後訓練の指揮任せられるか?」
少し前ならこんな時はエルドが指揮をかわってくれたが、今はいない…
自身の班に指揮を任せられる兵士がいないのにこの場を離れるなど公私混同もいいところだ。
だが、自分はクレアの今朝の様子を知っている人物の1人だ。
見ればクレアは声も出すのも辛そうだ。状況説明できる人間は1人でも多い方がいいだろう。