第68章 出会いと別れ
クレアも例に漏れずそのタイプで、今まで生理だといって夜の睦み合いを断られる事はあったが、訓練を休む事はなかった。
だからといって無理して訓練をしている様子も、今までなかったとリヴァイは記憶している。
たまに訓練の合間にあくびをしている姿を見た事はあったが、その程度だ。
そのため、顔色が悪いのは生理だけが原因ではないだろうと思ったのだが、春1番にトロスト区の襲撃が起こって以来、エレンの巨人化にクーデター事件と…心身共にストレスのかかる日々だった。
女の身体は男より複雑だ。
本人もそうだと言っているし、こんな事もあるのだろうとかと、リヴァイは腑に落ちないなりにも深くは追求せず納得する事にした。
「わかった、だが無理だけはするなよ?少しでもキツかったらすぐに医務室へ行け。」
「は、はい…ありがとうございます。」
素直な返事を聞くと、リヴァイも仕事を再開させた。
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「うっ……もう、いいや…」
リヴァイの執務室で仕事を終えたクレアは1人で食堂に来ていたが、気分が悪くて半分も口にする事ができないでいた。
「どうしちゃったのかしら…」
昨日までは何でもなかった。
だが、今朝珍しく目覚めが悪くて風邪でも引いたのかと思ったら生理がきていた。
今まで生理で体調を崩した事などなかったクレアは少し不思議に思ったものの、トロスト区の襲撃事件以来、心も身体もずっと緊張状態だったのだ。
さらにはこの2ヶ月、訓練に加えてハンジやリヴァイの仕事の補佐をして激務が続いていたため、体調が優れないのはそのせいだろうと思うようにした。
「…………」
朝食もまともに食べられず不安がないと言えば嘘になるが、ウォール・マリア奪還作戦は目の前にせまっている。
生理ごときで訓練は休めないと自身に言い聞かせ、クレアは残ったスープだけなんとかかきこむと、後は残して厩舎へと向かった。