第67章 約束
「お願い…理由は聞かないで…」
「………!?」
理由を聞かれて…答えを聞いて…もしその返事が自分の望むモノと違ったら、きっと自分は泣き崩れてしまい、笑顔で見送る事ができなくなってしまう。
そんな事になってしまったら、例え無事に帰還する事ができても、こんな場で泣き崩れる様な面倒臭い娼婦など2度と指名なんてしないはずだ。
無事に帰還した時に、また自分に会いに来て欲しいのならば、ここで自分の気持ちを伝えるわけにはいかない。
でも、もしこれが最後の逢瀬となってしまうのなら、最後の最後まで自分の中にいて欲しい。
めくるめく快楽に、その欲望をほとばしる最後の瞬間まで繋がっていたい。
今願うのは1秒でも長く、1つになっている事。
「モブリット…お願い…」
目から溢れた涙を拭うと、タリアは泣くのを我慢して必死に笑顔を作った。
「タリア……」
そんな顔で…そんな声で…そんな事…
言わないでくれ…
タリアの言葉に何もかも全てを伝えてしまいたくなったがモブリットだが、今一度考える。
タリアの言う通り、次会いに来れるのかは自分が生きていたらの話。
1ヶ月後の自分の生死が分からないのに、無責任な事は言えない。
何ともやるせない話だが、これが現実だ。
クソッ……!!
モブリットは奥歯をギリリと噛んでタリアの腰を掴むと、再び激しくその愛しい身体を貫いた。
「あぁぁぁぁん…!!!」
求めていた快感が再度うちこまれたタリアは甲高い声を上げて天井を仰いだ。
「あぁ…いい…いいわ…このまま…最後まで私の中にいて…!!」