第67章 約束
「きゃっ…モ、モブリット…?」
「タリア…君は…本当にキレイで、美しい。世辞でも冗談でもない!俺は心からそう思っている…だから…自分を卑下する事なんて…言わないでくれ。」
この想いを伝えたい…
健気に、そして懸命に生きているタリアを自分だけのモノにして、幸せにしてやりたい。
やっと自分の気持ちに向き合い自覚したこの想い。
“好きだ”、なんて短い言葉ではとても表現しきれない。
この想いを伝えてタリアと1つになれたらどんなに幸せか。
だが、モブリットはタリアを抱きしめながらも、忘れてはならない大事な事を思い出す。
1ヶ月後に控えた、ウォール・マリア奪還作戦。
エレンの硬質化の実験は順調だ。
だが、ウォール・マリア奪還作戦は、シガンシナ区に空けられた穴をただ埋めに行くだけではない。
おそらく…いや、必ず邪魔が入るだろう。
ライナーとベルトルトの行方がいまだつかめていないのだ。そして、ウトガルド城で目撃された獣の巨人の存在も無視できない。
ウォール・マリア奪還作戦は、ライナーとベルトルト、それと獣の巨人との交戦は避けられないだろう。
そうなると、自分は生きて帰れるだろうか。
調査兵団に入団し、ハンジの班に編入し、数年間ハンジに尽くしてきた。
これからもそうありたいと願うが、調査兵団側は少なくなってしまった精鋭と巨人化できるのはエレンただ1人。
それに対して相手は鎧の巨人に超大型巨人に謎の叫びの力を使う獣の巨人だ。
ライナーの鎧には刃が使い物にならない。
ベルトルトは巨人化する時の爆発だけで周りに大きなダメージを与えられる。
それに、獣の巨人は不足の要素を多分に含んでいる。
圧倒的に不利だ。
調査兵団へ編入してくれた頼もしき兵士もそれなりに揃ったがあと1ヶ月でどれだけ使い物になるかは疑問な所。
そうなると、自身の生存率は…考えたくはないが、下がるだろう。