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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第67章 約束






「…………」



一方モブリットは、好きだと自覚している相手に対し、不可抗力とはいえこんな形で汚してしまった事に罪悪感をつのらせていた。


ここは娼館だ。


こじれた想いを胸に、はたまた普段の鬱憤を晴らすために来る客が殆どだろう。

顔に射精をして自身の中のサディスティックな欲望を満たす客もいるはずだ。


モブリット自身も興奮しなかったとは言えば嘘になる。

最低限の性経験はあったが、こんな行為は初めてだった。

だがタリアはハンジへの叶わぬ想いで押し潰されていた自分を救ってくれた女だ。

それだけではない。

今では密やかに愛しく想う、大切な女だ。




少し戸惑いながらも言われた通りじっとしているタリアに言いようも無い愛しさが込み上げてくる。


背格好や見た目はハンジにそっくりたが、タリアは兵士ではないのだ。

その身体はとても華奢で筋肉質ではない。

そしてずっと室内にいるせいか肌は青白いと表現した方がわかりやすいだろう。



昼間は仕立て屋として、そして夜は娼婦という影の世界で日々生きてくだけで精一杯の生活をしているタリアを、この手ですくい上げて自分だけのモノにするという願いは果たして許されるのだろうか。




夜空に静かに、そして慎ましく輝く三等星のようなタリア。




この気持ちは、どう打ち明けたから良いのだろうか。




「これで、大丈夫だと思うが…」




自分の気持ちをどう伝えたらよいのかわからぬまま時間はどんどんと過ぎていき、気がつけばタリアの顔はキレイになったいた。



「ありがとうモブリット…あなたは本当に…優しいのね…」



閉じていた目をゆっくりと開いてそう呟くタリア。



少し申し訳なさそうに…遠慮がちにモブリットに礼を言う。



「タリア……」



その表情から察するにきっと、“こんな娼婦なんかに…”と考えてるに違いない。



そんなタリアの姿が無性にいじらしくなり、気づけばモブリットはタリアを思い切り抱きしめていた。





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