第65章 女王、ヒストリア・レイスの即位
「リーブス会長に言われたんです。女王に即位したら一発殴って“殴り返してみろ!”って言ってやりなって!」
「リーブス会長に…?!」
ディモ・リーブスはエレンとヒストリアを引き渡す時に、リヴァイ側についた事がバレてケニーに殺された。
もしそんな会話をしていたとなると、おそらくはリヴァイがヒストリアを締め上げた後だろう。
「リヴァイ兵長には何の恨みもありません。もちろん嫌いではないです。そして今ではこの生き方を選択するきっかけをくださったので感謝もしてます…でも、今となっては…あの時のリーブス会長の言葉は…遺言になってしまいました。だからせめて…このクーデターが成功した花向けに…会長の遺してくださった言葉を実行して心の中で御礼がしたいのです。」
「ヒストリア…」
「でも実行する前にちゃんと恋人であるクレアさんから許可を頂かないとと思って…」
そう言ってヒストリアはいたずらっ子の様に笑った。
ヒストリアはリヴァイを恨んではいなかった。
ちゃんと、リヴァイの事も理解していたヒストリアにホッと安堵するクレア。
リヴァイを殴ってやろうだなんて言ったのはヒストリアが第一号で間違いないだろう。
リヴァイはきっと、ヒストリアは自分に対してマイナスな感情を持ってると思ってるはずだ。
状況が状況とはいえ、あんな事をしたのだ。
でも、実際そうではなかったという事がわかったらリヴァイはどう思うだろうか。
人類最強の兵士長として、孤高の存在だったリヴァイに、年の離れた女王が全力で殴ってきたらどう感じて、どんな顔をするのだろうか。
「うん、いいんじゃないかな?ヒストリア、もう女王様だもん!」
兵士長になる前のリヴァイの事はよく知らなかったが、ずっと周りから尊敬の眼差しを向けられてきたのだ。
クレアは、なんとなくだが、リヴァイは喜ぶのではないかと思った。