第65章 女王、ヒストリア・レイスの即位
「クレアさーん!!!兵長!!」
振り向くと、サシャ達がこちらに向かって手を振っていた。
サシャにミカサにアルミンにコニーにジャンだ。
「…??!」
しかし、サシャ達と一緒にこちらに来る見知らぬ兵士が1人。
銃を抱えている。
憲兵団の兵士だろうか。
「クレアさん!ヒストリアが呼んでるみたいです。」
「え?!」
戴冠式の前に呼び出しなどいったいどんな用事なのだろうか。
クレアは驚きのあまり声が裏返ってしまった。
「こちらの憲兵さんがヒストリアが呼んでるって…クレアさんの事探していたんです。もうこちらに来てると思ってたので調度良かったです!!」
「あの…ヒストリアは…あ、いえ…女王陛下はいったいどんな要件で私を…?」
「私は連れてくるように命じられただけなので、要件まではわかりかねます。とにかく、一緒にいらして下さい。」
「おい待て、コイツを連れて行くなら俺も一緒だ…」
リヴァイはクレアの事を心配して同行すると言い出したのだが、それは憲兵によりキッパリと断られてしまう。
「女王陛下はクレア・トートの入室のみを御所望です。申し訳ございませんが、クレア・トート、一人でいらして下さい。」
そう言うとくるりと反転してスタスタと行ってしまう憲兵。
この人混みだ。
急がなくては見失ってしまう。
「兵長すみません!!私、ちょっと行ってきます!!」
「チッ…!」
ヒストリアはもうこの壁内の女王だ。
その女王がクレアだけと命じたのならそれが絶対だ。
だが、心配性のリヴァイはあの憲兵が嘘をついているのではないのかと気をもんだが向かっていったのはヒストリアが待機している建物の中だった。
ひとまず気持ちを落ち着けるとリヴァイはドカリと座り直してクレアが戻ってくるのをただひたすらに不機嫌な態度で待った。