第65章 女王、ヒストリア・レイスの即位
「痛ったたた……ハハ、私だけじゃないよ。エルヴィンにもバレバレ。」
「えぇ?!」
「さっきヒストリアを連れて行く時にボヤいてたよ。“クレア、無茶をしてくれたな…”ってね!!」
「そ、そう…でしたか…そしたら皆さんにもバレてますよねきっと…」
「いんや、気づいたのは私達くらいでしょ!皆はヒストリア!ヒストリア!って騒いでたから。」
「本当ですか…よかったです…」
なんとかクレアの作戦は成功し、ヒストリアは巨人化した父を自らの手で討伐したという大義名分の元、多くの民衆から慕われる女王となるだろう。
クレアは一安心すると、どっと疲れが出てきたが、まだやる事は山の様にある。
早く手伝いに行かなくては。
「では、私は104期のみんなや駐屯兵の方達と合流しますので、これで失礼します。ハンジさんは動いたりしないでおとなしくしていて下さいね!」
そう忠告して敬礼をすると、クレアは立体機動で壁の上へと飛んでいった。
「クレアといい所だったのに、割り込んじゃってごめんね!!」
「ハッ、悪いだなんて微塵も思ってないくせに適当な事言うな…」
もう少しでクレアと唇を重ねる事ができる所だったのにとリヴァイは不機嫌オーラを大放出だ。
「ハハハ、まぁ兵舎に帰ったらゆっくりイチャイチャすればいいじゃん!じゃあ、私はエルヴィンとヒストリアの所まで戻るけど…リヴァイは?どうするの?」
「…俺は、確かめに行かなきゃならねぇ事があるから一旦ここを離れる。すぐに戻るからエルヴィンにはそう伝えておけ。」
確かめたい事…
それはケニーの安否だった。
あの洞窟でのどさくさに紛れて死んでいる可能性も高かったが、どんな形であれ再会をしたケニー。
生きているのなら聞きたいことがいくつかあった。
「………ん、分かった!」
リヴァイ表情から、行き先に何となくの予想がついたハンジは痛む肩を押さえながらエルヴィンの元へと戻って行った。