第64章 それぞれの決断に、変わる風向き
ードォォォォォォォォン!!!ー
見事なタイミングで2つの台車が壁にかけた手に激突し、同時に爆発をする。
手の表面を爆破する事には成功したようだ。
「よし!体勢が崩れた!!」
「エレン!!」
大勢を崩したロッド・レイスに、エルヴィンは左手を上げてエレンに合図を送ると、ありったけの火薬を詰め込んだ樽を、エレンは思い切り口の中に放り込んだ。
皆で固唾を飲み込み、見守る事わずか数秒…
ーゴォォォォォォォォン!!!ー
爆薬は見事ロッド・レイスの口内で爆発した。
「総員!!立体機動でとどめを刺せ!!!」
クレアはエルヴィンの号令と同時に飛び出した。
これ程の巨体でも本体は縦1m横10cmの大きさしかない。
本体を破壊しない限り、また身体を再生し高熱の盾を生み出してしまう。
この機を逃してはならない。
「熱っ!!」
「クソッ!どこが本体だ!?」
「2人とも…ごめん…!!」
クレアは難儀しているコニーとジャンの肩に足をかけてピョン!ピョン!と勢いをつけると、爆発した中心部へと飛び込んで行った。
「え…?!」
「ヒストリアか?!」
ジャンとコニーは一瞬の出来事で顔を確認できなかったが、自分達の肩を踏み台にもの凄いスピードでロッド・レイスに飛び込んで行ったその後ろ姿はヒストリアそのものだ。
確かにヒストリアも訓練兵団を10位以内で卒業していたが……
果たしてあんな猛スピードで飛ぶ事などできただろうか…
こんな姿のヒストリアを見た事がなかった2人は驚きを隠せなかったが、あの後ろ姿は紛れもなくヒストリアだ。
先程止めるリヴァイを押し切って“自分も戦う”と言っていたが、あのスピードは火事場のバカ力的なものなのだろうか。
呆気に取られていると、ヒストリアは目標めがけて大きく腕を振り上げた。