第64章 それぞれの決断に、変わる風向き
「うぅ…なんて熱さなの…!?」
ヒストリアに扮したクレアはロッド・レイスのうなじめがけて飛び込んだが、大量の火薬によって爆破された顔面も、再生が始まってしまってる。
その証拠にもの凄い熱さだ。
しかし、なんとかクレアは攻撃が有効とされる場所を見つけると、そこめがけて大きく腕を振り上げた。
「もう…終わりにしましょう……」
このクーデターのきっかけは、巨人化する少年、エレンの存在だった。
それは、壁の秘密が100年の眠りから覚めたように、次々に事件が起こり、沢山の人間が死に、人同士の殺し合いにまで発展してしまった。
でももう、これで終わる。
ここでロッド・レイスを仕留めれば、真の王の座は、初代王の思想に支配されていないヒストリアのものとなるのだ。
これで内地の不正は完全に正され、やっとウォール・マリア奪還作戦へと調査兵団は力を注げる。
そうすれば、両親の墓を建てて手を合わせる事も、そう遠くない未来に実現できる。
この命さえあるのならば。
クレアはこの壁内の明るい未来と、ウォール・マリアの奪還を願うと、目を開き、急所めがけて力一杯ブレードを振るった。
ーザクッ!!!ー
「お父さん…私は私の選択を信じて生きていく…」
ヒストリアから預かった伝言と共に、クレアはロッド・レイスにとどめを刺した。