第64章 それぞれの決断に、変わる風向き

「…ん？そうだよ？外だよ？」



サシャとコニーは、崩落した地下洞窟から地上に繋がる場所を探していたのだろう。


クレアの顔を見ると、緊張の糸がプツリと切れたように表情を緩ませた。



「やったぁぁ〜〜〜〜よかった…へ、兵長〜〜〜！！出口を確保しましたぁー！！」



ホッと安堵すると、サシャは再び洞窟の中に飛び込んで行く。



「みんな無事なの？！」



サシャの後を追い、クレアも地下洞窟に飛び込むと、目に飛び込んできたのは硬質化した巨人と、同じ素材と見られる無数の柱だった。



「何これ…エレン…なの？」



「はい！！洞窟が崩落する直前にエレン、なんと硬質化で私達を守ってくれたんです！！…ですが肝心の中身の方がまだ…」



「え？！」



「あ、あぁ…エレン！！」



先程まで硬質化した巨人の中に埋まっていたが、無事に救出された様だ。

エレンの無事な姿を見ると、サシャはすぐに駆け寄った。



「無事にほじくり出せたんですね！」



「工事が必要だったがな。」



「おかげでみんな助かりましたよぉ！！」



感極まりエレンの前に膝をついて礼を言った…ところまではよかったのだが…



「でも正直言うとあなたが泣き喚きながら気持ち悪い走り方で飛び出したあの瞬間は…もうこれはダメだ終わりだ終わりだこのおばんげねぇ奴はしゃんとしないや…本当メソメソしてからこんハナ垂れが…と思いましたよ……」




「……サ、サシャ……？？」



感情が昂ぶりすぎたサシャは安堵の言葉を漏らすが、所々強い訛りが混じり、うまく聞き取れない。


サシャは生まれ育った故郷の強い訛りを隠すために、同期に対しても敬語を崩す事はなかったが、よっぽど怖い思いをしたのだろう。


本音と共に訛りもだだ漏れだ。



「これは……」



そんな中、我に帰ったエレンが周囲の状況に目を白黒させている。


記憶がないのだろうか。