第64章 それぞれの決断に、変わる風向き
「待てクレア!!危険だ!!」
「ですが…みんなが…!」
危険は百も承知だがこの地割れで、誰かが大怪我をしていたらいち早く救出しなければならない。
クレアはハンジの制止を振り切り走ったのだが…
「あぁ…!!キャァァ…!!」
割れた地面からは火傷を負いそうな程の熱風が吹き出し、クレアは近づく事ができなかった。
「クレア?!大丈夫か?!」
「ハンジさん…熱風が強くて…近づけません!!」
「とにかく離れるんだ!!」
仕方なくハンジ達の元へと戻ったクレアだったが、次の瞬間…
地面の割れ目から現れたモノにハンジ達一同驚愕をする。
「あれは…?!!」
地面の割れ目からヌッと現れたのは長くて巨大な腕の様なモノ。
それは、地面をバキバキと割り、時折よろけながら地下から這い出いでてきた。
「巨人…?!」
クレアはブレードを構え、立体機動装置で臨戦態勢をとるが、なんだか様子がおかしい。
その超大型巨人より巨大と思われるそれは、身体が大きすぎるためか二足歩行できず、胴体を引きずるようにノロノロと地面を這っている。
そして、目の前にいるハンジ達を無視してズルズルと這ったまま移動してしまった。
「何よあれ…奇行種なの?」
「…………」
さすがのハンジも分からない様だ。
口をあけたままビクともしない。
だが、あの熱の塊の様な巨人から距離を取れれば熱風はもう浴びなくて済む。
クレアは再び地面の割れ目に向かって走り出した。
すると……
「「あっ!!クレアさん!!」」
地面が割れ大きく空いた穴から出てきたのはサシャとコニーだった。
「サシャ!コニー!無事なの?!」
「は、はい…あの…クレアさんと会えたって事は…もうここは外ですか…?」