第64章 それぞれの決断に、変わる風向き
「あぁ畜生!!なんてザマだ…ったくこんな大事な時に…あぁ!もう…!!」
ハンジは動く左腕を顔に持ってくると、らしくもなく落ち込んでいた。
「大丈夫です。兵長にミカサもいます。それに104期のみんなもとてもたくましく成長しています。無事にエレン達と合流していると、祈りましょう。」
「………うん……」
「今はまだ動きがないので、ハンジさんは少し休んで下さい。この後の展開は…私にも読めませんので…」
「………わかった…」
力なく頷いたハンジ。
今頃リヴァイ達は中央第一憲兵の兵士を追って洞窟の最奥に到達してるだろう。
エレンは食われずに間に合ってるだろうか。
ヒストリアをめぐり戦いになってるだろうか。
信じてはいるが、誰かが怪我などしていないか心配は尽きなかった。
ハンジが目を閉じて30分程たっただろうか…
馬車の荷台で眠るハンジの手首を取り何度か脈拍を確認していると、突然地鳴りが起こり、地面が大きく揺れた。
ードォォォォォンッ!!!ー
「うわっ!?」
「な、何?!」
銃を構えて周囲を警戒していたマルロとヒッチが突然の地鳴りと爆音に足元がフラついてしまった。
「何?!今の?…もしかして…礼拝堂から…?!」
クレアが馬車の荷台からおりて事態を確認しようとすると、地面が大きく揺れて不気味な地鳴りがさらに大きな音をたてた。
「な…何だ……?!」
ハンジも目を覚まして身体を起こした。
「ハンジさん…わ…わからないんです…突然…まさか…みんな…」
「地下の洞窟で何か遭ったと考えた方が…よさそうだね?」
「…やっぱり……兵長……みんな……」
地鳴りと揺れる地面に外にいる4人にも緊張が走る。
「マルロ!ヒッチ!!できるだけ礼拝堂から馬と馬車を離して!!この礼拝堂の地下は大きな洞窟になってるの!!地面が割れたら大変な事になる!私も手伝うから早く!!」