第64章 それぞれの決断に、変わる風向き
「うぅ……」
ベルトルトの超大型巨人なんて比ではない程の爆風がエレン達にも襲いかかる。
拘束されたまま真正面から爆風を受けているため、今にも腕がもげてしまいそうだ。
実際に洞窟の中に無数に存在していた柱が次々と折れ砕けていく。
そんな爆風が襲う中エレンは必死に訴えた。
「………そうだ!!ヒストリアの父さんが…レイス家が…巨人になったんだ…それならオレがこのまま食われちまえばいい!!もういいヒストリア…!!逃げろ!!」
「嫌だ!!」
このままではこの洞窟は崩落する。
ヒストリアが無駄に命を落とす必要などないのだ。
しかし、エレンの提案は即却下だった。
「だから何でだよ?!」
「私は人類の敵だけど…エレンの味方!!」
「……!?」
「いい子にもなれないし、神様にもなりたくない。でも…自分なんかいらないなんて言って泣いてる人がいたら…そんな事ないよって…伝えに行きたい!!それが誰だって!どこにいたって!私が必ず助けに行く!!」
初代王の思想に支配される神になどなりたくないが、この世界の真の女王になれば、泣いている人を助けにいける力が手に入るかもしれない。
それなら自分は…女王になら…なってもいいかもしれない。
でもその前に、今目の前にいるエレンを助けなければ。ずっと側にいたのに気づけなかった苦しみに…今なら手を伸ばす事ができる。
それに、目の前の戦友さえ助けられないのであれば女王などとても務まらないだろう。
ヒストリアはエレンを拘束している鍵を解こうと必死だ。
ーガチャッ!!ー
「キャァァァァァ!!!」
だが、1つ鍵が外れた所でヒストリアは爆風に当てられ吹き飛ばされてしまった。
「ヒストリア!!!」
ゴロリと後転し、洞窟の硬い壁に頭を打ちそうになった瞬間、よく知る力強い手がヒストリアの後頭部を守った。
「ミカサ!!?」