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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第64章 それぞれの決断に、変わる風向き






「そんな……じゃあ…私は…」



今まで実父であるロッド・レイスが自分にしてきた事を思うとケニーの話した事は真実だと思う。

だが、どこかで父を信じたいと思う自分もいる。

その父親のために巨人になり、エレンを食って、巨人の力を継承しようとしたのだが、もうヒストリアは何を信じていいのか分からなかった。





「ったく…なんてガッカリな展開だ…おいヒストリア、巨人になればいい。もう邪魔しねぇよ。ただし、よーいどんでだ。」



そう言ったケニーはコツコツと階段をのぼると、拘束されているエレンの元へいき、さるぐつわを取って、持っていたナイフで額を切った。



「お互いが巨人になって殺し合う。そしてヒストリアが勝てば平和が訪れる。エレンに負ければ状況は変わらねぇ。舌噛み切るのも難儀だろエレン?切り込み入れといてやるよ。」



「あぁ…!!」



傷の入ったエレンはもういつでも巨人化できてしまう。
こうなっては時間がない。

ロッド・レイスは注射器を取り出すと、少し取り乱しながらヒストリアに詰め寄った。



「ヒストリア!!安心しろ、この注射なら強力な巨人になれる。最も戦いに向いた巨人を選んだ。巨人になれば制御はきかないが…エレンが拘束されている今ならまだ望みはある。さぁ急げ!食うと言っても正確には彼の背骨を噛み砕き脊髄液を体内にいれればよいのだ。」



「おっと…俺は離れてないとな!」



「急げヒストリア!!」



ロッド・レイスにまくし立てられると、ヒストリアは注射器を受け取り自身の左腕を出す。

もう何が正解なのか分からないが、これは自分に課せられた使命なのだ。

レイスの血を引く者の宿命なのだと言い聞かせて針の先を腕に向けるが、周りは不気味な程に静かだ。




「…………」




こんなに迷って、こんなに戸惑って、必死に覚悟を決めたのにこの静けさはなんだ。

自分の心臓の音がやたら大きく聞こえる程にだ。




その理由はすぐにわかった。




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