第64章 それぞれの決断に、変わる風向き
トラウテが今がチャンスとばかりに部下に撤退命令を出す。
「ダ…ダメ……!!」
ここで体制を立て直されたらコチラに分が悪くなるのは確実。
結構な数を仕留めだが、まだ敵の方が人数が多い。
撤退される前に殺らなければ…
「うっ…うぅ…」
「ハンジさん…!!」
だが、ハンジをここに置いては行けない。
しかし、これから親玉であるケニーとの戦闘が予想されている中、戦力が欠ける事も好ましくない。
一体どうすれば…
すると、リヴァイが全員に向けて命令を出した。
「クレア!!ハンジを任せた!!すぐに外へ連れて行け!!残りは敵を追う!ついてこい!!」
「で、ですが!兵長…!!」
戦闘か、撤退か…
クレアは目の前全ての事が1番大事で、何か1つに選択を絞る事ができなかった。
「命令だクレア!!ハンジを失うわけにはいかない!!さっさと撤退しろ!!」
「は…はい…!!」
怒気を帯びた命令にクレアほ戸惑いながらも返事をすると、ハンジを抱えて撤退を始めた。
「……………」
ケニーとの戦闘を考えると、クレアとミカサの戦力は必須だ。
だが、この先エルヴィンに何かが起こった時、ハンジは次期団長になる人物だ。
この革命が失敗すれば時期団長もクソもない話だが、それでもハンジの存在は絶対だ。
クレアはその優先順位を決められず完全に混乱していた。
血を流して倒れたまま起き上がる事もできなかったハンジ。
1分でも早く応急処置が必要だと判断したリヴァイは、クレアに撤退を命じる事に決めた。
「よし…行ったな……」
ハンジを抱えて立体機動で飛んでいく2人を見届けると、リヴァイ班は撤退を始めたトラウテ達を追い、洞窟の最奥へと向かっていった。