第64章 それぞれの決断に、変わる風向き
ーゴロゴロゴロゴロゴトンッ…!!!ー
1番最初に現れたこの珍客を敵はどんな顔をして見ているだろうか。
先日奇襲を受けて3人もの仲間の命を奪った第一中央憲兵。
この程度の手土産では到底足りないだろう。
だからこそ、ここで一気に叩く。
リヴァイが合図をすると、細工を施した樽にサシャが火矢を打ち込む。
サシャの武器はなんと言ってもこの矢の命中率。
一発も外さない。
火矢が刺さった事により火薬を積んだ樽は大爆発だ。
オマケに中に油を入れた袋をいくつも詰め込んでいたため、そこかしこに火が上がり煙が立ち込め始めた。
火は次々と面白い程に燃え移り、あっという間に一面煙だらけだ。
「よし、行くぞ!!」
「はい!!!」
まずはリヴァイとクレア、ミカサで先陣を切るように飛び出すと、洞窟内にはその空間を支える柱が何本も立っている。
「あれは……」
よく見るとその柱の上部に足場を作り、憲兵らしき兵士が2人一組になってこちらを狙っていた。
「突破されるぞ!!」
「撃ち落とせ!!」
敵がここにいて、突破を阻止するあたり、もうどう考えたってこの奥にエレンとヒストリアはいる。
ハンジの読みは間違っていなかった。
ードンッ!!ー
ードンッ!!ー
ードンッ!!ー
銃口を向けた憲兵の目くらましに、アルミンは3人の飛んでいった方向めがけて信煙弾を打つ。
煙をうまく味方につけて的を絞れなくするのが目的だ。
「は?!」
「何だ?!信煙弾か?!」
「24、28、32…敵数35!!手前の柱の天井あたりに固まっている!!作戦続行!!全ての敵を!ここで叩く!!戦闘開始だ!!」
リヴァイの命令で、待機していたハンジにコニーにジャンも、煙の中に飛び込んで行く。
アルミンは各兵士の動きを追いながら信煙弾で目くらましを。
サシャは複数ある樽を時間差で爆発させて、皆の援護を。
人数が少ない分、知恵を絞り頭脳とチームプレイで挑んだ作戦だ。