第64章 それぞれの決断に、変わる風向き
そんなケニーは自身が巨人になって、レイス家の力を継承したエレンを食えば、ウーリの見てきた景色が見れると思っていた。
…のたが、今聞いた話だと、レイス家の人間でなければ無理な様だ。
「なんだよ……そのバカげた真相は…」
そんな話は知らないとばかりに怒りをあらわにすると、ケニーはロッド・レイスの首を締め上げ左目に銃口を突きつけた。
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「あった…隠し扉だ。エレンも敵もこの奥だろう。私が予想した通りの地形だといいんだが…」
例の礼拝堂に到着したリヴァイ一行は、外の見張りをマルロとヒッチに任せると、中に入りそれらしき場所を探し始めたのだが、ハンジが敷物の下に隠し扉があるのを発見した。
もうこの中で間違いないだろう。
「わざわざ寄り道して手土産用意した甲斐があればいいけどな……」
「これでよし…兵長、ハンジさん!準備整いました。」
アルミンが細工が施された樽の最終確認をすると、2人に声をかける。
「そうか…了解だ。それでお前ら…手を汚す覚悟の方はどうだ?この間みたいな、脚だけ狙えなんて生ぬるい命令は出してやれんぞ…」
「…………」
みなリヴァイの問いに返事はしなかった。
だが、その表情を見れば覚悟の有無など一目瞭然だ。
「…良さそうだな。」
皆の覚悟を決めた表情に、リヴァイも納得したように頷くと、隠し扉を開き中に潜入した。
真っ暗な通路を地下におりていくと、大きな扉にぶつかる。
「…………」
リヴァイは仕掛けを持ったアルミンと、火矢を構えたサシャにアイコンタクトを送ると、思い切り扉を蹴破った。
ーバンッ!!!ー
扉の向う側は、階段になっている。
リヴァイ達が用意した“手土産”を贈るにはちょうどいい。
アルミンがガス管をくくりつけた樽をその階段に転がすと、それはゴトゴトと音をたてながら転がり、煙を上げ始めた。