第64章 それぞれの決断に、変わる風向き
「ハンジさん…どうして…?私…私……うぅ……」
ハンジにはまだ何も話していないのに、どうして分かってしまったのだろうか。
「どうしても何も、分かるんだもん。クレア、一回り大きくなってたからさ。」
「そ、そんな…身長ってこんな短期間で伸びたりするでしょうか??」
「ハハハ!!そういう意味じゃないよ!心が大きく成長したからそう見えたって事!もう可愛いなぁ!!」
口をあけて豪快に笑うと、ハンジはクレアを抱きしめて頭をクシャクシャと力任せに撫で回した。
「キャッ!!ハンジさん!!い、痛いです!!」
そんな激しい愛のスキンシップに、クレアの涙はスッとどこかへ引っ込んでしまい、気づけばハンジにつられて笑っていた。
「おい…それくらいにしとけ…」
「わっ!わっ!?なんだよ、リヴァイはケチだなぁ!」
クレアをギュウギュウと抱きしめているハンジを引っ剥がすと、リヴァイは少し申し訳なさそうな表情で呟く。
「ハンジ…お前から預かった3人を…死なせてしまった……すまなかった……」
「…………」
二ファ達が殺された事は知っていた。
勿論、胸が痛まなかった訳ではない。
彼らは死してなお侮辱されたのだ。
だが、調査兵団の疑いは晴れたのだ。
決して彼らの死は無駄死にではなかったのがせめてもの救いだったとハンジは思っていた。
「……でも、敵の鉄砲共はさっき君らで無力化したんだろ?」
「全部じゃねぇ、その親玉辺りとエレン、ヒストリアはまだ別の場所にいる。早いとこ見つけねぇと、この革命も頓挫しちまう……」
「エレンとヒストリアの居場所だが…心当たりがある。確証を持つまでには至らないが、どうやらこれに賭けるしか無さそうだね。」
そう言うと、一通の封筒を出したハンジ。
エレンとヒストリアについての情報が書かれているのだろう
「この戦いは…そこで終わりにしよう!!」
クーデターの終わりも、あと一息の所まで来ている。
浮かれていた104期達もハンジのその言葉を聞くと、すぐに真面目な表情へと切り替えた。