第64章 それぞれの決断に、変わる風向き
「なんでハンジさんがここに?!!」
どこにいるのか分からなかったハンジ。
安否を心配していたハンジ。
無茶をしていないか気を揉んでいたハンジ。
そしてずっと会いたかったハンジが、今目の前にいる。
いつもなら抱きついている所だが、聞きたい事がいっぱいありすぎて、クレアはポカンとしてしまった。
「マルロとヒッチが伝達役になってくれたから色々と助かった。ホラ、最新ニュースだよ。」
「……………」
ハンジがリヴァイに1枚の紙を渡すと、皆で食い入るように書かれている文章を読んだ。
「嘘……」
「まじかよ……」
「本当かコレ……」
紙に集中していた視線が今度はハンジに向けられる。
「読んだ?…ま、そういうこと!!調査兵団の冤罪は晴れ、君達は正当防衛。王都も行政区もザックレー総統が仮押さえ中だ。」
ハンジがリヴァイが渡した紙には…
フレーゲルの協力により、リーブス商会の会長は中央憲兵の命令で人攫いをし、その結果中央憲兵によって殺された件をトロスト区の住民の前で暴露させるのに成功した事。
その一連の流れをストヘス区のベルク社に取材させ、真実を記事にする様説得した事。
また、エルヴィンの処分が下される瞬間に、命を賭けた捨て身の“誤報”により、王政の本性がその場にいた全員、そしてザックレー総統の前で明らかになった事。
そんな事が書かれていた。
「王政の不正や本性がベルク社の号外によって壁内全土に知れ渡った。今の所、貴族達の反乱は起きていない。我々は自由の身だ!!!」
「いやったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ガッツポーズとウィンクでその事実が知らされると、104期の新兵たちは歓喜の声を上げて安堵と喜びで飛び上がった。